旧制もりちか高等学校

図書室(読書記録)

蔵書・読書覚書

読了日:2026年08月28日(金)

『アンソロジー おやつ』

著者:森茉莉など / PARCO出版

いただきがこんがりと、狐色に焦げた皮の上にふりかかっている粉砂糖は舌の上で、春の淡雪よりも早く溶けて、その甘みは捉えることも出来ないうちに消え、卵黄と、牛乳(ミルク)と、ヴァニラの香(にお)いが唇一杯にひろがる滑らかなクリイムは、その日の朝焼かれたものなのに皮になじんで、皮の内側はクリイムの牛乳を吸いこんでしっとりとしている。(6-7P)

様々な作家によるエッセイのアンソロジー。おやつがテーマとなっている。古川緑波がマカロンの話をしているのが意外だった。もっと最近のお菓子かと勝手に思っていたので。森茉莉のエッセイは本当に上品で良い。

読了日:2026年9月3日(木)

『ヒカリ文集』

著者:松浦理英子 / 講談社

「でもね、私は家族だって切り捨てるよ。自分が自由に生きるためなら。」
「そうあってほしいと思います。自分をいちばんたいせつにすべきだから。」

劇団を去った元女優・賀集ヒカリにまつわる思い出を綴った文章という体での小説のようだ。ヒカリは誰からも愛されるような人間であったが、誰のことも愛せなかったのではないかと思う。家庭環境はそこそこに悪いようだった。そのせいで処世術を身につけたのだろうか。今はヒカリが幸せでいられたらいいなと願わずにはいられない。

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